Nippoku Style | 人間は思い込みがあるから新発見ができないんだ
皆さんは、上の写真が何かおわかりでしょうか。一見すると“地球儀”のようにも見えますが、よく見るとどこか違いますね。これは地球儀ではなく、「火星儀」です。
昨日と今日の二日間にわたり、千葉県の習志野市津田沼にある千葉工業大学を会場に、「全国進学指導研究大会」が開かれました。全国の高等学校から、日頃進学指導をしている多くの先生方が集まり、「高校と大学の連携」というテーマで研究協議を行いました。
一日目は「現代教育問題」というサブテーマで講演やシンポジウム、情報交換が行われ、二日目は「大学最先端研究情報」というサブテーマで記念講演や12の分野にわかれての第一線の研究者による講演が行われました。
私は大会副委員長という立場から、二日目に行われた記念講演の講師の方と、控室で直接いろいろなことをお話しすることができ、とてもためになりました。
記念講演のタイトルは「惑星科学の現状と将来展望」。講師の先生は、千葉工業大学惑星探査研究センターの松井孝典(まつい たかふみ)先生でした。
松井先生は静岡県でお生まれになり、東京大学理学部を卒業後、東京大学大学院博士課程を修了されました。その後、NASA研究員、マサチューセッツ工科大学招聘科学者、マックスプランク化学研究所客員教授東京大学大学院新領域創成科学研究科教授等を歴任された後、東京大学を退官されました。その後、昨年の4月からは、千葉工業大学惑星探査研究センターの所長として、活躍されています
先生は、これまで、そして現在も第一線の研究者として常に世界をリードしてこられました。その一方で、「国民の税金を使って仕事をしてきたのだから、その成果を、国民に還元することは当然のこと」という考えから、NHKをはじめとする、マスコミの依頼を、お忙しいにもかかわらず、できるかぎりお受けになり、ご自身の研究の中身を、わかりやすく紹介して来らたのです。
このお考えは東京大学を退官された現在も同じで、先生ご自身のウェブサイトでは、3月に発表された「恐竜絶滅の原因は小惑星の衝突」という、世界をアッと言わせた論文の内容についても、YouTubeを介して、わかりやすく説明しておいでです。
先生の講演はとても面白く、先生ご自身も楽しそうに話されているので90分の時間を忘れるほどでしたが、その中でこんな言葉が印象的でした。「人間は思い込みがあるから、新発見ができないんだ。」
その言葉を聞いたとき、私がずっと思ってきた「生徒に対して先入観があると、生徒のいいところが見えないかもしれない。」につながるように感じました。そう感じたことを、講演後の謝辞の時に壇上で先生にお話ししましたが、先生も頷いて聞いてくださいました。
90分の間、本当に楽しそうに自分の研究を話される先生の姿を見ていると、自然に「惑星探査って面白そうだな」と言う気持ちになってきました。上の写真の火星儀は、松井先生から講演会参加者へのプレゼントです。
「生徒は外に出ると育つ」といつも書いていますが、校長も外に出て育ってきました。この二日間、第一線の研究者の方々と接することで、高校での進路指導の大切さを、改めて痛感しました。
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