Nippoku Style | 玄関にお客様がいらしてます
地震から十日が経ち、学校も少しずつ落ち着いてきました。建物は一部を除いて大きな被害はなかったものの、校舎内部の片付けはまだまだこれからです。今日は技術職員の皆さんが、教室のストーブを倉庫にしまう前に、点検を行っていました。
生物実験室も、地震発生当時のままです。黒板にはその時の実験内容が書かれたままになっているし、黒板上の時計は、地震発生時刻で止まったままです。
東北地方の皆さんのことを考えると、本校の被害など被害のうちに入らないかもしれません。それでも、早く授業ができる体勢にしたいと思いながら廊下を歩いていると、マナーモードにしている携帯電話が振動しました。事務室からの呼び出しでした。「玄関にお客様がいらしてます。」
玄関でお待ちになっていたのは、地震直後のまだ電気も通らない頃、夜遅くに自宅へお伺いしたご夫婦でした。
そのことは以前にも「親を思う子の気持ち」に書きましたが、両親を日立に残して神奈川県に住んでいる娘さんから、連絡の取れない両親を心配する電話を受け、私と泊まっていた職員の二人で、夜遅い時間でしたがご自宅まで訪ねていったことがありました。その時のご夫婦が、わざわざお礼に見えたのでした。
ニュースなどで地震の被害状況が報道される中、遠く離れている両親と連絡の取れない娘さんの気持ちを考えたら、誰でも「ちょっと様子を見に行こうか」と思うはずです。そのことに対してわざわざ学校までお礼に来てくださったお二人の姿を見て、とても嬉しくなりました。あの時一緒に行った職員も、お二人がお礼に来られたことを話したら「そうですか!」と素直に嬉しそうな顔をしてくれました。
あの夜、遠く離れた娘さんとお二人の間に通っている温かい心に触れた時、私たちはとても幸せな気持ちになりましたが、今日改めて、親子の情は何にも代えがたいと思いました。
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